正弦的に時間変化する電磁界とMaxwell方程式

はじめに

無線工学では、電源が駆動する電流分布を所与のものとして、それが生じる電磁界を求めたい状況がよくある。例えばアンテナが放射する電磁界を求める状況がこれに当たる。この記事では電流のフェーザ(phasor)が与えられたときに、それを用いて電界と磁界のphasorを表す式を導出する。

“正弦的に時間変化する電磁界とMaxwell方程式” の続きを読む

end-fire型アレイアンテナの指向性

はじめに

今読んでいる本に、完全半波長ダイポールアンテナを直線上に配列したアレイアンテナが紹介されていた。配列軸と素子が平行な場合のbroadside型については放射指向性の数式が載っているが、配列軸と素子が垂直な場合のend-fire型は言及が浅く、数式が載っていないので導出してみた。broadside型,end-fire型両方について計算機による可視化もやってみた。

“end-fire型アレイアンテナの指向性” の続きを読む

無限に長いソレノイドコイルが作る静磁界

はじめに

電磁理論を学ぶときに必ず出会う演習問題として、無限に長いソレノイドコイルに流れる定常電流が作る静磁界がある。教科書の解答例ではz軸方向の一様性と円柱対称性と磁場の発散が0であるという事実とMaxwell方程式の積分形を用いて磁界が中心軸からの距離のみに依存するz方向成分のみをもつベクトルであるという制約を導入して解くのが普通だと思う。この記事ではそういう技巧を敢えて使わずに、Biot-Savartの法則から積分によって機械的に計算してみる。

“無限に長いソレノイドコイルが作る静磁界” の続きを読む